武田泰淳 『風媒花』 アジアという視座        一覧　ホーム


1)朝鮮戦争下の知識人 日本と中国 米軍占領下の日本[武力 暴力 殺戮]［歴史]
122、185　ＰＤ工場
21　終戦後、「中国」は流行語になった。　　
223　朝鮮人の姿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
◇「援蒋反共」◆愛国的熱狂　◇111チャンコロ　◆今も生きている
◇112　自称日本主義　
☆39　自己の主張に従わぬ者を再び売国奴と罵るだろう　
◇日野原
［１］208　朝鮮戦争　232　安保　在日米軍　海上の艦艇　122、122　ＰＤ工場　
64　戦争の跡　　116　中井　７・７　吉原大門　解体　暴走
☆［２］　小説方法と世界観
2)謎としての世界　脱中心化　正義　真相　球形ではなくて平面　延長拡散　網状世界
卍の世界　非完結性　
［起承転々　高見　順］［不透明　混沌］［自然　死］［善玉悪玉]
［１４］選別 [生き物としての人間]［束の間の安定感］　
5)人間の無力　卑陋　滑稽　物質性　強者と弱者　歴史の無限性　［小毛的生存］［軍地
悲劇的　　人物］［奴隷　自由］［人間の自由　幻想］［奴隷の自由］
6)権力　殺の思想　[知識人 翻訳蚊士]［中国革命］［朝鮮戦争］［武装闘争］［球根栽培法］ ［正義］［激痛の思想］［流血］
39 [強者の世界]　
☆［さまざまな「真相」さまざまな「世界」
7)加害者と被害者　戦争責任　人間存在の犯罪性［軍地　加害者 悲劇的人物］［自己の正しさを　信じ得る人間］
［他人が僕にあたえる激痛、僕が他人にあたえる激痛]［激痛の意義 と価値]
[《戦争責任》の問題］
　中国という呼称　戦後は流行語のようになった　抗戦文学　人民文学の流行　
  翻訳蚊士　東方友好協会 [日中友好 日支親善] 激痛 [自称日本主義者]
[知識人のねじれ][三田村という存在]☆二世　混血　民族
☆106　無理　74　知識人　四分五裂　［選別］［監視］　現代　結婚　男女関係　性
桃代　複雑
☆139　日野原　田舎者　農民警官
[敵のことを知らない][王道楽土 45 主観的善意と侵略荷担]

Ａ［新しい政治と文学の問題] [ 45　王道楽土 仁の思想] [主観的意図と現実]［無理］[知識 人の問題]　　[翻訳文化 翻訳蚊士]
Ｂ［ヒューマニズムとアンチ・ヒューマニズム][現代と個人][大量殺戮][無責任なボタン][悪] [人　間は自由ではない] [物質としての人間]
Ｃ ＰＤ工場と日常生活　生物としての人間　生存競争　犬と猫　３匹の猫　鼠
Ｄ［正義］
Ｅ 軍地 日野原を田舎者と罵る 批判者 正義の人 悲劇的 独裁者 ☆加害者 正しい 96 100
Ｆ 人間を動かす者 200　嫉妬 復讐 芥川龍之介 知識人と庶民 エネルギー 性欲 権力欲
コンプレックス 生存競争

『暗い絵』の青春　絶対の結合　絶対の正しさ　孤独への道　権力　支配 独裁者 悲劇的
『風媒花』もともと孤独　前提としての孤独と結合　関係　相互に他者 滑稽 喜劇的
『風媒花』と『武蔵野夫人』姦通論議　道徳 狭山　同じ日に家を空ける　勉　貯水地
毒薬 の幻想　

発表 1952年1月から 執筆 第一回 1951年10、11月？
1)描かれた世界 [現代 歴史的時期 朝鮮戦争]
2)「風媒花」の方法
3)小説方法と人間観[知識人の問題]
4)作者の自己

[1] ◆歴史的な現在
    ◆ 208 朝鮮戦争 日本と中国　232 在日米軍 海上の艦艇　185 ＰＤ工場
    ◆自己の生涯 青春
 ☆展開 結末なき
 ☆空間 場所　169 新宿 時間が層をなして 185焼酎ホール
    時間と空間 明暗
                    蜜枝 自信 ゴム長 ◆◆守 ◆◆悪 三田村 ニヒリズム
                    細谷桃代　122 185 ＰＤ工場
                    鎌原 横河 Ｆ町 ◆◆露子
 ☆同時性　
[2] 人間観（＝世界観）と小説方法
    ◇悲劇的人間 (現代性)( 32 軍地の悲劇性と滑稽性)
    ◇都市的人間（複雑 64 四分五裂の神経）桃代　35 中井
    ◇権力 日野原
    ◇王道楽土　( 45 Ｍ博士) 73鎌原智雄博士 仁の研究
    ◇小毛的人間　強者と弱者
◎ 73 主観的意図と反対の結果
◆ 172 しばらく奴隷であり得る自由

◆1 朝鮮戦争[米軍 米軍相手の女たち] ◆危機感 ◆橋
◆7 束の間の安定感 ◆疑えない疑 い ◆解かれない謎 [注視] 他者の眼 『選別』 警戒 仲間 対立 [共産党 分裂]　
◆2 172 しばらく奴隷であり得る自由 ◆数え切れない「真相」
☆3 構成 ☆完結のない小説 ☆冒頭 ◇展開 ◇事件と人物 自立的発展
◇4 作者 観察者であり、批評者 叙述者 記録者
◇5 劣弱者の視点 峯 露子 桃代 [自信のある者 強者]
◆6 作品世界の自立性 作者は作品世界の支配者ではない
◎7 謎としての世界 他者性 [冒頭 多様な人間 階級階層] 硝子が割られる
◎8 自己を神にしたい者 野間の場合　芥川の場合
☆9 人間の小ささ 無力性 玩具性 滑稽　◆世界 歴史 自然
◆10 死ぬ者としての人間 滅亡 束の間の命／威張っている者 自己を誇る者の滑稽さ
◆11 権力志向 多様な人間 無力な人間 小毛の真剣さ ﾂﾀ 無理 自分だけ 人間 、みんな 選ばれた人間
◆12 非垂直的 非序列的 多元性の世界 仕方なさ 人間というものの悲しさ
◆13 混乱　混沌　雑然　同時性　連関性 中心なき世界 網状世界
◆14 世界　様々の「真相」
　何が起こっているか分からない　謎性　不透明　他者性　
◆15 非球形 平面的などこまでも延びる世界
◆16 軍地の悲劇性と滑稽性 世界の検察官 糾弾者 独裁者 どうしてそんなに正しくなくてはならないか。人間世界　自然世界　ヒューマニズム　アンチ・ヒューマニズム
◆17 権力志向 支配
◆18 生存の犯罪性 生存競争 戦争 武器 [悪]の支配
◆19 戦時下の経験 体験 自己 罪悪 弱者 ☆ 35 中井 7・7 吉原大門
◆20 裁く者と裁かれる者 中国とふれあう日本 侵略者
◆21 峯の中国体験 中国の自然 軍歌 輜重輸卒 侵略者として
◆22 傷 痛み 激痛
◆23　45 善意と悪意 主観的善意 結果 王道楽土 仁の研究
◆24 殺！殺！　殺の思想　細谷源之助　中国と日本　民族的発展　繁栄　中国革命との関係
◆25 激痛 与える　与えられる　加害者　被害者　生ぬるいヒューマニズム 222 まんべんなく責任
◆26 拳銃　［堀田善衛　『海なりの底から』《武器感覚》］
◆27 帝銀事件 松川事件 三鷹事件 下山事件

講談社文芸文庫　1992年8月18日　伊豆 利彦
[1] 橋のほとり [2] 疑えない疑い [3] 卍 (1) [4] 卍 (2) [5] 第一の犠牲者 [6] 工場にて [7] 犯人 [8] 愛 (その1) [9] 愛 (その2) [10] 計画 [11] 武器 [12] 兄弟 [13] 灰の花

作中人物　☆中国文化研究会　峯 軍地 西 梅村 中井 原
          ◇三田村 横河 鎌原文雄　鎌原博士　Ｍ博士 日野原 ◆守 蜜枝 桃代
          ○露子 桑原の母 おねえちゃん ☆峯の妹
   季節 60 稲を刈り取られたあと

[1] 橋のほとり
朝鮮戦争勃発直後の日本
7　束の間の安定感 彼の自由［☆しばし奴隷でありえる自由]
8 制服の外国人 監視 ☆『占領したのに』　
☆［橋の向こうとこちら］　いざり乞食と新聞売り　サラリーマン　命令されたように有楽町の駅に向かう。　峰は与えられた時間を、思い通りに使用できる選ばれた人物のように　　　
［橋の向かう］研究会の仲間　特殊の男女　洋装の女　日本人のよた者　制服の外国人　
監視　やがてそうなるのだ。そうならずにはすまないのだ。
9 教会の壁の蔦 無理 無理はよくない
9 鎌原文雄　あの平凡堅実な男が・・・謎 自殺?
10 中国文化研究会に峯はかつて彼の青春を賭けた。◆激しい政治情勢の風圧で、次第に凝結し、結晶を鮮明にしつつある。
◇離脱 自分自身にさえ気取られぬように ◆離れれば離れる程 ◆ 彼と無関係に動き始めた。◆青春の彼が正義と信じた物を今なお代表しつづけていた。
8　会が正しい存在であること、それが彼の唯一の希望だ。
14 人間は遺憾ながら個体なのだ 孤立した個体　
19 日中の橋
20　その橋が二つの岸をつなぐ日、両国の文化はすっかり変貌しているにちがいなかった。岸の地盤が積みなおされ、固めなおされ、形を改めた日、橋ははじめて架設を終るはずであった。両岸の地盤を改造するための努力、それのみが、この作業の第一歩のはずであった。この築岸工事を企てるためには、彼等の力はあまりに弱かった。その弱さ、屈辱を一番身にしみていたのは、軍地だったであろう。
21 終戦後、「中国」は流行語になった。
30 特審局の派遣員であっても不思議はないのだ。
32 軍地 悲劇的な男 独裁者になれる男 潔癖過ぎる 文学病患者 権力
政治の壁 革命の壁 スパイ
35 中井 [失業中][ストリップ劇場のプログラムの製作者]
　7月7日 8年間にわたる両国のもみあい 中井のような敗残者を無数に造り出した。
[2]疑えない疑い
38 石垣 壁の非情さ
39 「援蒋反共」 気の強い男が生き残っている。 自己の主張に従わぬ者を再び売国奴と罵るだろう。
 気の弱い男達は目をつぶり、耳に蓋をする。//一体、いつまで、強者の世界の世界は続くと言う のか。
44 様々の「真相」　帝銀事件 下山事件 三鷹、松川事件
          鉄のカーテン 竹のカーテン、ドルのカーテン
45 Ｍ博士 「王道楽土」 「只見日本大精神」　(自己 他者 主観的善意) 侵略の思想
48 日野原 軍の大学 49 外国人を愛せるものかね 中国 向こうはオトナだよ。
50 吉田茂はその点で、現実的な政治家だな。・・・空想的にではなく、現実的に日本を愛している　　　　　 [3]卍 (1)
63 (守 蜜枝←桃代)正しい:強いときめこんで
64 ◆守 ロシアかぶれ ◆直撃弾の爆風の跡 ◇三田村 ニヒリストって奴は無責任だからな。
68 自信
73 鎌原智雄博士 仁の研究 [主観的意図 反対の結果] 漢奸 (堀田善衛)
74 複雑な闇　中国の抗戦文学　農民 健康 版画 ◆日本都会人の四分五裂の神経
75 東方友好協会　◆野坂 ◇翻訳と創作 [堀田 『歴史』 「漢奸」
76 日中友好と日支親善 野坂参三
78 「人民による人民のための人民の文学」 評論家
はたして生産できるのか。他人のふんどしで相撲を取る
他人の皮をかぶって、他人の舌で喋べりまくる
81 上海での生活 ◆権力 3種類
　1)現状における権力
　2)権力の廻りをウロウロしている連中。反抗するにしろ、服従するにしろ……人類の99パーセントまで
　3)第1の奴に反抗し、それをやっつけようとする権力者　潜在的な 権力信者 [近代主義]
83 翻訳 誰が訳しても抗戦文学は抗戦文学 (堀田善衛『歴史』)
84 翻訳文化 翻訳蚊士 知識人 外国の権力なり文化なりの代弁者になるだけで結構飯が食える
85 正しい権力
87 軍歌 峯と中国
88 投石　《謎》　

[4] 卍 (2)
93 ガード下の焼酎ホール 東京庶民のまとまりのないエネルギー
94 原 28才 東方友好協会 →109 古参下士官の癖
96 中井 40才
97 軍地 38才 どうしてそう正しくなけりゃならないんだ 100 鎌原博士に対する態度
   文学運動の分裂 魯迅祭
[5] 第一の犠牲者
104 三田村 横浜生まれ　☆日本人 日中の混血児　［大陸系　台湾系　香港系］　
106 無理　Ｑの子　三田村 日本人に対して加害者になる [責任 無責任] テロリスト
108 日野原 もと陸軍大学の教師 度し難い田舎者(軍地の批評)
109 日本人全体が中国人になるか、中国人全体が日本人になるかしなけりゃ、中日両国のあいだには血なまぐさい事件はたえないんじゃないか
   中井 死ねばいい
111 チャンコロ 戦勝国づら
112 独裁者 (軍地) 悲劇的
113 白衣の傷病兵
120 同類 仲間を破滅させる加害者(三田村の軍地評)

[6] 工場にて
122 ＰＤ工場 軍管理工場 125 ＭＰ

[7] 犯人
133 朝鮮戦争
151 わかり難い存在
152 全部 帝銀事件 大量殺人
 ◆それぞれの存在 ◆独自性 ◆同時性 ◆同一空間 時間の層 ◆構造
 新宿 移動 8時10分前

[8] 愛 (その1)
161 蜜枝 毛沢東とおんなじぐらい好き?
166 細谷源之助 167 蜜枝の愛憎 169雨天の新宿駅頭 共同便所の臭気
169 広い水槽から狭いガラス容器にすくいあげられた金魚たちの、あのせつない軽薄さ
 軍地なら、誰がこの無数の遊民の生活を支えているのかと、もっともらしく反省するに違いない。 だが、蜜枝にとって新宿は反省の発火点ではない。ここは彼女の想い出の冷蔵庫なのだ。
172 「しばらく奴隷であり得る時代」 の誤った現象　
176 お金 万引 ←[梅村の細谷についての話]

[9]愛 (その2)
178 横浜の家を焼け出されてからの彼女
185 焼酎ホール ＰＤ工場のガードが２人　売春 日野原 国士風青年 台湾 206 魯迅の詩
         
[10] 計画　　　　　 清風荘 大磯
208 細谷源之助 殺!殺!殺! ◆翻訳蚊士　◆◆軍地 三田村　行為 権力 毒
 朝鮮戦争 [責任 無責任] ＰＤ工場 232 海上の艦艇 大磯の海岸 演習
          
[11] 武器
234 露子 小児麻痺 祖父の哀れな姿　［見ている　『絵本』］　
241 横河と三田村 鎌原 青酸カリ 正義と革命 武器
243 父の日記　253 どっちが正しいか分からない
254 Ｆ町事件　中国残留者の手記［わたしのよろこび　おおのまつ　６０才］　
   じこうはんせいやじこうけんとう
◆◆だけど病気はなおらない ◆◆拳銃　銃声
         
 [12] 兄弟
261 峯 自分のうなり声 醜い悲鳴 ◆◆263 小毛 ◆◆265 おれを殺そうとする方が正しい
◆◆「おれ」そのもの ──おれはおれ以外になれない (教会の壁の蔦)
266 今裁かれているのが、人類全体だったらどんなにいいだろう
   午前10時 時計 それぞれの時間
269 小毛には小毛の真剣さ ◎ 四分五裂　◆◆軍地 ──あんたほど御立派に──
   桃代 悪の魅力 ◎おなじ焼酎ホール

[13] 灰の花
鼠 手紙 原 三田村
◇◇2発の銃声 ◇◆3匹の猫 生存競争 犯罪
302 敵に関して白痴状態ですね
308 鼠 捨てればまた来るよ。 ◇◇他人の与える激痛、他人に与える激痛にエロ作家も責任を・・312 「姉ちゃん、どこへ行くんだい。台湾か北京か、香港か」
   「行くならジコーハンセイ(自己反省)とジコーケントウ(自己検討)しなくちゃな」
313 葉鶏頭 純物理的な明るさ 3人 鮮血の色 蜜枝は桃代の血　守は三田村 峰 自分自身の血
314 蜜枝「チョロちゃん!」 守「革命!」 峰「中国!」 気恥ずかしい片思い 3人は共にいまだ遠い距離　

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